座禅体験にいってきたのでレポ
何で行こうと思ったの?
禅宗、もっと言えば東洋哲学について自分はセンター倫政程度の知識しか持っていなかったのだが、先日こんな本を読んだ。
史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち (河出文庫 や 33-2)
- 作者: 飲茶
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/10/05
- メディア: 文庫
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某格闘ギャグ漫画、「刃牙」を彷彿とさせる絵柄と、「史上最強の」というタイトルに胡散臭さしか感じなかったのだが、ライトな哲学入門書を書くことに定評のある飲茶さんの本ということで軽く立ち読みをしてみたのだがこれがまた何とも面白い。例えば、君は釈迦がひとりでに悟ったと思っていないか?否である。西洋哲学が思想を継承していくように、古代インド哲学を源流とする東洋哲学の系譜の中に釈迦も存在し、またその思想の終着点として日本、そして禅がある。というような話がそれぞれの思想とともにわかりやすく書かれているのでリソースは避けないが体系的に学びたい方に非常におすすめである。
そこまでいうなら実際に禅を体験してやろう。東洋思想の真髄とは知ることではなく体得することなのだ。
いつどこでやってるの?
今回来山したのは日本史選択ならおなじみの曹洞宗開祖道元の開いた永平寺!の
別院(?)長谷寺。
何と表参道にあるということで同駅から十分ほど歩いて到着。
詳しくはサイトをみていただきたいが、毎週月曜の18:30(受付は18:20まで)開催ということで会社員の方にも優しい設計となっており、実際エリートサラリーマンぽい方も多く参加していた。予約は不要で料金は100円と非常にコスパのいい体験となっている。
雰囲気はどんな感じ?
まず良かったことは初めてでも参加しやすいことだ。18:10あたりになるとどこからともなくスーツ姿のお兄さんお姉さんがお寺に入っていくのでついていけば迷うことはない。さらに会場内に入ればお坊さんが待合室の案内までしてくれて非常にわかりやすくて親切だ。
一人でいくのは、、、という方もいると思うが、待合室の雰囲気はお寺でかつこれから座禅をするとあって静かで、実際お堂に入っても喋ることはないし一人でも全然大丈
夫であった。禅だけに
さらにこの座禅会は初めての人と2〜5回目の人、6回目以上の人でコースと待合室が分かれており、待合室にどんなに玄人ぽい人がいても同じ初心者という親近感も沸けてそこがすごく良かった。
内容は?
30分になると、お坊さんが呼んでくれてみんなで列になってお堂に進む。一人一畳与えられた畳の上に座り、お尻に引くためのクッション(坐蒲というらしい)を眺めていると、お坊さんが礼のときや歩くとき、座るときの手の形を教えてくれ、それからレジュメを用いた禅宗の考え方(只管打坐とか!)やあの棒の名前とか座禅の際の姿勢と呼吸の話があった。外国の方と通訳がいて、通訳の人は訳すの大変というか、リンガメタリカみたいで楽しかったろうなあと思う。
ここまで聞いて宗教はちょっと、、、と思った方もいるだろうが、禅においてよく言われる身心一如の考え方などは、ルーティーンワーク(習慣化)の考え方と似ていて、要は頭で考えるより体に染み込ませようぜということだ。確かに普段体を動かすときに頭で考えて動かしてるやつなんていないのにどうしてここぞという場面では自分が動かそうなどと思ってしまうのか(人はこれを緊張と呼ぶ)。体に任せた方がうまくいく。実は合掌の仕方や座禅の仕方を指定することもこのルーティーン、ひいては身心一如の考え方を取り入れていることがわかる。このように宗教における動作はルーティーンを作ることが目的なことが多い。
そんな感じで座学が1時間ほどあり、休憩を挟んでいよいよ座禅に。何も考えずただ座することを目標としてやってみたがこれが難しい。「何も考えないようにしよう」と考えてもダメだからだ。寝たりなんか無論できないのだが電気を消されてお腹が減っていたのでまぶたが若干重かったが何とかなった。長丁場なので食事は取っておいた方がいいが眠くなるので少なめに。花粉症の人は結構鼻呼吸を推奨されるのでご注意を。後ろを棒を持ったお坊さんが歩いてくるときに叩かれないか毎回ビクビクしてしまったw無心無心と考え続け()、20分ほどして鐘がなって禅体験はおわった。体感割と短く感じた。
で、なんか利益になるのそれ?
これは特にないらしい。いや、もっともらしい理由をつければ集中力がでるだの精神の調和だのマインドフルネスだのいえるが、禅の言葉に「無所得 無所悟」というのがある。得るところも、悟るところもないということだ。なぜなら禅では座禅の正しい姿勢実践できているときそのものを仏を体現している(ここでの仏は理想としての姿)と考えられているからだ。そしてその状態は無我で無分別智なのだから、そもそも悟るだの利益だの期待している時点で雑念がはいってるYOということなのだろう。(ちがう宗派の臨済宗の公案なんかも同じような意義で、調べると面白いから是非)だからこう、悟りたいと願わずして悟る、ということを考えないようにすることで悟る、ということを...(無限ループ)みたいな、東洋の思想はだいたいこんな感じである。人によってはボロカスにいいそうなものだが、その論理構造はきちんと説明されれば理路整然としていて納得できる(気がする)。なので冒頭で紹介した本おすすめなので興味があれば一読を!
まとめ
禅体験親切だし安いし予約いらないし面白いのでおすすめ!